10年以上前の話です・・・
東京の原宿に、ウイーンボンボンという小さな洋食屋さんがありました。

今はパ○コになってしまいましたが、その一角にあって、
初めて行った時は、通り過ぎてしまったほど小さくて、目立たない
小さなお店でした。

お店に入ると、カウンターで仕切られた客席と調理場・・・
椅子はお店には不釣合いなほど大きくて、ゆったりと座れる椅子が
8脚から10脚・・・そう、これだけ入ればいっぱいなのです。
東京で仕事をしていた頃は、月に一度は必ず通っていました。

マスターは大使館で調理長などを経験していて、腕は確か。
またメニューのネーミングもユニークで、『未知との遭遇』とか、
『爆弾三銃士』・・・etc・・・(笑)
お値段はとってもリーズナブルで、出される料理は全てマスターオリジナル。
そして、メチャメチャ美味しいのです。
私がいつも頼んでいたのは、その『未知との遭遇』¥1500で
デザート付き♪そのデザートも変わったババロアや、シャーベット等が出されましたが、
絶品でした。もちろん、料理だって、そりゃもう・・・
大食いの私(自爆)ですら、持て余すようなボリュームでした。
食べきれなかった料理はアルミホイルに包んで持って帰って、
ゆっくりと堪能したものです。
ある時から、サラダも付いたのですが、サラダも豪快・・・
ガラスの器なんて気取ってません。入ってきたのは何と「すりばち」(核爆)
でも、オリジナルのドレッシングは最高でしたね。あんな味はどこにもありません。

マスターも、人柄が良くて、政治とワインと料理とおしゃべりが大好きな人。
赤のギンガムチェックのシャツが良く似合う、日本人離れした「おじぃちゃん」
背もあの年齢の方ではかなり大きいと思うし、勿論、
今でも背は高いほうに類されるでしょうね〜。ホント背の高いおじいちゃんです。
デザートのババロアは、いつも食前に出していましたが、
「食事の後では、おいしいババロアも食べられなくなってしまいますから、今
召し上がってください」という、マスターのコダワリ。
午前中に行ってもマスターと話していてついつい長居になり、気が付いたら
夕方だったなんてことは、ショッチュウでした。

1つおもしろいエピソードを思い出しました。
ある時お店でビールを頼んだカップルがいました。
生憎、お店にはワインはあるものの、ビールは置いておらず、お店の中は
何とな〜く、ビミョーな空気が流れてました。その時マスターは私に
「すみません、お店お願いします」と言い残して、裏口から出ていったのです!!
「あ、ちょ・・・ちょっとマスター!!」そう言ったものの、マスターは
既にお店から消えていて、私はお客さんが来ないことを祈ってました(笑)
10分ほどすると、マスターは瓶ビールを何本か抱えて帰ってきました。
しかも、大瓶(笑)
買って来たビールを注文したお客さんに出して、勘定は瓶ビールの代金、
そのままでした。ビールの儲けは取らなかったのでした。

それが・・・地上げにあい、立ち退きを迫られ、30年以上前から構えていた
原宿のお店を畳んでしまいました。
一時は「九州にある老人ホームに引っ込んで、そこで料理をしようかと思っています」と
仰っていましたが、「御茶ノ水にいいテナントを見つけたので、そこで
継続して営業を続けます」と言う事でした・・・しかし・・・
私は、その御茶ノ水のお店をとうとう探すことは出来ずに、今はどうしていらっしゃるのか
全くわかりません。
原宿のお店を閉店すると言うその日、りんどうの鉢植えを携えて行きました。
冒頭にも書きましたが、お店があった場所は現在パ○コになっていて、
あの建物を見るたびに何とも言えない複雑な気持ちになります・・・。

マスターのお名前は苗字しかわかりません。
山口さんという方です。
誰か知っている人がいたら教えて欲しいです。また、あの味を心行くまで堪能したい。
お店が無くなっていてもいい・・・せめて一目お逢いして、色々話しをしたいと思っています。
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